239吠え ページ12
私にそう声をかけた黒霧は手に持っていた湯気を立てる器をカウンターの上に置き目の前の席を示した
黒霧「どうぞ」
あ「…………」
死柄木弔に手を引かれカウンターの席に座らされる
隣には何故か死柄木弔が
目の前の器には湯気を登らせる鶏肉とトマトが入ったトマト粥
昨日と変わらず食欲をそそりそうな香しい匂いが鼻腔をくすぐる
通常の状態であれば、の話だが…………
黒霧「食べないのですか?冷めてしまっては、味も落ちてしまいますよ」
あ「……いらない」
掠れた声で応えると隣に座る死柄木弔が「はあ?」と苛立たし気な声を出す
黒霧「……食欲が優れませんか?A」
あ「……とまと……嫌いだ」
そう言って器を黒霧の方にずらす
かたかたと音を立てた器
黒霧「好き嫌いですか」
あ「……笑うな」
黒霧が声を出しながら笑った訳ではないが
細められた金色の瞳と僅かに揺れた肩が何だか笑ったように見えたから
むっとして黒霧を睨みつけた
黒霧「いえいえ、笑ってなどいませんよ」
あ「ふん……」
死柄木「…………」
視線を感じてそちらを向くと頬杖を突きながらこちらをつまらなそうに見つめる死柄木弔が
何だか苛立たしそうなその様子に居心地の悪いものを感じていると
徐に死柄木弔がスプーンに手を伸ばし
私の顎を空いた手でつかみ無理矢理こじ開けた
そしてねじ込まれるスプーン
口に流れ込む酸味をあまり感じないトマトの風味と柔らかい米の食感が
あ「んぐッ!!?」
死柄木「つべこべ言わずに食べろよ」
あ「ぐっ、ん、むっ」
スプーンが勢いよく引き抜かれ口を手で覆われた
歯にスプーンが当たってカチカチと音を立てる
そして地味に痛い
死柄木「飲み込め。そしたら…手、離してあげるよ。Aちゃん?」
あ「っ……ん、ぐぅ」
嫌々飲み込むと
漸く口から手が離され息を吐いたその時ーーー……
あ「んむッ!!?」
再びスプーンをねじ込まれ
そして引き抜かれる
再び口元を覆った手にデジャヴを感じ
嫌々飲み込む
これを器が空になるまで繰り返す
あ「……おえ」
死柄木「Aちゃん、トマト食べれるじゃん。良かったね」
あ「……」
黒霧「食べ物で遊んではいけませんよ、死柄木弔」
死柄木「食いもんで遊んだわけじゃない。Aちゃんも全部食べ切ったし」
黒霧「それはそうですが……」
ぐらぐらと回る視界
浮上と落下を繰り返す意識
私はそのまま意識を失い
カウンターに頭を強かに打ち付けた
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ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
