228吠え ページ1
何処だ……ここは
身体がだるい
頭に霞がかかっているような感覚
ワープの中で意識を失ったらしい私が再び目を覚ますと見知らぬ天井と匂い
顔を動かすことも億劫になるほどの倦怠感
腕を動かそうとするとジャラリとした金属音がして
それ以上腕を動かすことが出来ない
手首に感じる冷たく固い感触
それは足首にも同じように感じた
あ「………くそ…」
手錠と鎖を着けられ寝ているベッドに繋がれているため
十分な身動きをとることが出来ない
動かすことを諦め
頭の中の情報を整理する
整理するといってもそう多くはない
私は林間合宿の施設から
ワープでここに連れてこられたのだろう
そして恐らくここは……
荼毘「目が覚めたか」
敵の本部
扉の開いた音の後に聞こえた継ぎ接ぎ男の声
そちらに顔を向けると腕を組みながら扉にもたれ掛かる継ぎ接ぎの男がいた
気だるげなエメラルドに見られ顔をそらす
荼毘「つれねえな。夜吠A……ああ、夜吠ってのは形式上の名前だったっけ?」
あ「……」
床の軋む音が近づいてくる
それがベッドの横でぴたりと止まると継ぎ接ぎの男が顔を覗き込んできた
睨みつけるも男は口角を上げて余裕の表情を浮かべる
荼毘「自分の状況わかってんのか?」
突如眼前に突き出された男の掌
脳裏を過る蒼い業火
身を焼かれる苦痛
私を支配するのは″恐怖″
植え付けられたそれは私の身体を震わせるのには十分だ
喉が引き攣り身体が冷える
荼毘「そうか。やっぱり″火″が怖いんだな……いい事知れたぜ」
あ「……っ」
そんなものは迷信だ
野生動物が火を恐れるなんて
私だって火は平気の筈だった
なのにあの一瞬
あの一度の体験ひとつで
ここまでの恐怖を植え付けられたのだ
怖い
怖くてたまらない
″炎″が怖くてたまらない
荼毘「丁度いい。お前の父親には少なからずイラついてたんだ…父親の非礼は娘が償ってくれよ?」
あ「ッ!?」
灯りだした蒼い炎
荼毘「治るの速えんだろ?安心しろよ。その奇麗な顔に傷は残んねえから」
熱が顔に伝わってくる
口が震え歯がカチカチと音を立てる
荼毘「まぁ……多分だけど」
あ「〜〜〜〜ッ!!!」
痛い程瞼を閉じて顔をそらす
顎を掴まれ再び男の方を向けられた
足を可能な限りばたつかせても何の効果もなさない
ただじゃらじゃらと耳障りな音を響かせるだけ
死柄木「おい……何してる?荼毘」
荼毘「あーあ……めんどくせ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 521人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポンズイ - 強制じゃ無いんで、気にしなくても良いですよ！ (2018年8月10日 17時) (
レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - 僕も尾白君オチが良いと思います！！出来ればで良いですが、出来たら尾白君オチにして貰えませんか？？ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - この小説とてもとても面白いと思います！！良かったらなのですが、オチは尾白君にして貰えませんか？もし良かったらでいいので！！ (2018年8月2日 18時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ - この作品、滅茶苦茶感動しました！！これからも、頑張って下さい！！応援してます！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 更新頑張って下さい^▽^応援してます！ (2018年6月21日 13時) (レス) id: 755e555840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルマ☆ | 作成日時：2018年6月4日 15時
