第5話「露呈」 ページ6
「失礼しまーす…」
カラカラと部室のドアを開け、私は中に入る。
「！あら、紫乃、お疲れ様。」
そこには、机の上にお菓子と飲み物を置き、椅子にだらーんと座ってオカルト雑誌を読んでいるトメがいた。
「トメもお疲れ様。…あれ？他のみんなは？」
「みんなそれぞれクラスの用事があるみたい。後から来るわよ。」
「そうだったんだ。…！あ、肉体改造部もランニングしてる。」
ふと外を見てみると、肉体改造部のメンバーたちが、掛け声と共に走っているのが見えた。
相変わらずすごい筋肉と体力だなぁ、と感心しながら見ていると、目の前を見覚えのある人物が横切った。
昨日から私の頭から離れない、副会長の徳川くんだ。
「！！？」
私は思わず驚いて後ずさった。後ろにいたトメにぶつかり、彼女が雑誌を落とす。
「わ！ち、ちょっと何？どうしたの？」
「あ、ご、ごめん！ちょっとよろけちゃって💦」
苦しい言い訳をしながら、私は床に落ちた雑誌を拾ってトメに渡す。
「…ん？紫乃、あんた顔が赤いわよ？熱でもあるの？」
雑誌を受け取りつつ、トメが私の顔を見て首を傾げた。
「え！？(ま、マズイ…さっき副会長を見たからかな…)」
私は咄嗟に何か取り繕おうとするが、動揺しまくって上手く言葉が出て来ず、あたふたしながらますます顔を赤くするばかりだった。
「………んー」
そんな私をトメが何か言いたげに見つめ、ゆっくり口を開いた。
「……あんた、もしかして誰かに恋してるの？」
「……んえ」
それを聞いた瞬間、私の中で「どうしよう」という焦燥感が最高潮になった。
そして次の瞬間、部屋に置いてあった飲み物やお菓子、雑誌や肉体改造部のダンベルが宙を舞った。
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作者名：みかんの缶詰め | 作成日時：2023年5月18日 19時
