塩中副会長と役員ちゃん【モブサイコ100夢】 (ページ48)

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第47話「悲劇」ページ48

それは、とうとう文化祭を明日に控えた日の夕方のことだった。

「おい哀川、正門のところに大崎さんという女性が来ているぞ。お前を呼ぶように言っていたが…」
「え……？」

生徒会室で作業をしていた私は、副会長からの言葉を聞いて不審に思った。

大崎さんとは私の家の隣に住んでいるおばさんで、昔から私のことを可愛がっていてくれた人だ。けれど、その人が何故わざわざ塩中に…？しかも私を名指しで…

私は何だか嫌な予感がした。

「何やらかなり切羽詰まっていたぞ。早く行った方がいいんじゃないか？」
「！う、うん、そうだね」

私は副会長に言われて、急いで正門まで向かった。

「！紫乃ちゃん！」
「！大崎さん、どうしたんですか…？」

大崎さんは相当慌てている。何やらただ事ではなさそうだ。

「あのね、紫都さんが…おばあちゃんが、階段から落っこちて病院に運ばれたの…！」

大崎さんは血相を変えてそう言った。

「は……！！？」

私は突然の事で頭が真っ白になる。
おばあちゃんが…？一体何があったんだ？

「すぐそこの病院だから、今から行きましょう！」

大崎さんは、パニックになって固まってる私の手を引いた。
一気に現実に引き戻された私ははっと我に返り、大崎さんと一緒に走り出した。

〜

「おばあちゃん！！」

私は看護師さんに案内され、おばあちゃんがいる病室へと入る。
おばあちゃんはベッドに横になっていて、頭には包帯が巻かれている。

「……紫乃…ちゃん……？」

おばあちゃんはそっと目を開け、私たちの方を見る。

「！紫都さん…よかった……」
「よかった…おばあちゃん……」

看護師さん曰く、おばあちゃんは買い物から帰る途中の階段で足を踏み外し、そのまま転落してしまったという。
命に別状はないけれど、頭部からの出血と足の骨折があったため、入院するのだそうだ。

「…ごめんね、紫乃ちゃん……」

おばあちゃんは申し訳なさそうに私に言った。

「！どうして…？何が…？」
「…紫乃ちゃんのお芝居…見に行くって約束したのに…」

おばあちゃんの言葉に私は目を見開く。自分がこんな時に、私との約束の心配をしていたなんて。

「！そんなこといいんだよ…！おばあちゃんが無事でいてくれただけでいいの…！」

私は半泣きになっておばあちゃんに言う。

「紫乃ちゃん……」

おばあちゃんは、そんな私の頭を優しく撫でてくれていた。