塩中副会長と役員ちゃん【モブサイコ100夢】 (ページ46)

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第45話「小さなヒビ」ページ46

それから、文化祭の準備は着々と進んで行った。
衣装や道具も完成し始め、劇の練習もいい感じだ。

だが、相変わらず私はクラスで浮いており、練習で王子様役の青木との絡みがある度に、周りの男子がからかう。女子もクスクスと笑っているのが聞こえる。練習に集中できないからやめてほしいのだが…

真理亜が止めてくれるものの、周りはそれが面白くないらしく、ますます疎まれてるような気がした。

まあいいか。文化祭が終わればそれもなくなる。いつも通り、隅っこでぼんやりと過ごす日々が戻ってくる。それに、私には真理亜が味方してくれる。優しい真理亜に、私は救われていた。

そして、いよいよ文化祭までもうすぐといったある日のこと。

何やら、クラスで真理亜とクラスメイトの女の子たちがきゃいきゃいと話している。

「ねー、めっちゃ面白かったね！」
「だよねー！真理亜寝相悪すぎだよー！笑」

そんな声が聞こえた。寝相…？一体どういうことだろう。

「けど、暗田さんも意外と面白い人だったね！」
「だねー。変人だとばかり思ってたけど、案外いい人だったし！」
「手伝ってくれたおかげで、真理亜のドレス完成したしねー！」

…暗田？トメのこと…？それに、ドレスが完成…？何が起こっているのか私にはさっぱり理解できない。

「ねぇねぇまたお泊まり会やろうよ！次はアリサの家とかどう！？」
「えー、うち狭いから無理だよー！」
「あ、じゃあ暗田さんち行かせてもらうー？笑」

それを聞いた瞬間、急に全てのピースが繋がった。

『真理亜とクラスメイトの女子、そしてトメたちが一緒に、泊まりで真理亜の衣装を完成させた』

そういうことだ。つまり、真理亜やトメたちは皆で仲良く一緒に衣装を作ったのだ。

『私』を除いて。

ハブられた。わざわざ他クラスのトメまで呼んで、私はハブられたのだ。

それに気づいた瞬間、体の内側が熱を帯びた気がした。何故なのだ。何故私に声をかけてくれなかったのか。

分かっていたはずなのに。私と真理亜は違う世界線の人間だということなど。私があの集団にいても浮くことなど。それなのに、いざ自分がハブられたと思うと、猛烈に悲しくなった。

真理亜…本当は私の事…

そんな想像まで頭を巡る。

私の心の何かに、小さなヒビが入ったような気がした。