第36話「演目」 ページ37
さて、演劇をやるからには演目を決めないといけない。
クラスの皆は、シンデレラなどの童話をアレンジをしてはどうだとか、誰もが知ってる名作をそのままやるだとか、色々と話し合っていた。
私は特に何をやりたいだとかはなかったので、周りの話を黙って聞いていた。
それに、私みたいな陰キャはどの道脇役だろう。しかも全員が劇に出演する訳ではなく、照明やナレーターなど、様々な役割が存在する。
どうせ私は地味な脇役か、裏方に回されるんだろうなあ。…けれど、何か目立つ役をやって副会長に見て欲しいなぁ…そんなことを考えていた。
さて、演目の話に戻るが、これはかなり重要な選択とも言える。
簡単すぎるものだと、セリフを覚えたりするのは容易いが、イマイチ魅力にかける。
かと言って難しく凝った演出があるストーリーのものだと、裏方や衣装の負担が半端でない。おまけに、お客さんにも分かりやすくしないといけないので大変だ。
何かいい演目はないだろうか。簡単すぎず、難しすぎず、みんなが知っているもの…
すると、クラスメイトの女の子が声を上げた。
「あ、あれなんかどう!?『陽だまり姫と月影姫』!」
私はその言葉にぴくっと反応した。周りの皆もおおー、と良い反応を見せる。
「そうかあれがあったな!」
「あれなら皆知ってるし、楽しめるんじゃない!?」
「話もちょうどよく凝ってて、やりがいあるよな!」
クラスの皆が次々に賛同の声を上げる。それほど、この作品は有名で評価が高いのだ。
そして、私が幼い頃一番引き込まれた物語である。
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作者名:みかんの缶詰め | 作成日時:2023年5月18日 19時