第33話「終焉のその先に」 ページ34
「中止！もう引き際だ！！」
翌日、私は会長に話をするべく生徒会室の前にやってきたのだが、中からそんな声が聞こえたので入るのを躊躇った。
この声は会長だ。一体何があったのだろうか。
私は躊躇しながらも、生徒会室へと足を踏み入れる。
その瞬間、私の目に見るも無惨な会長の顔が飛び込んできた。
誰かに殴られたのだろうか。全体的にボコボコに腫れ上がり、酷い痣が目元に出来ている。
「ひっ……！？」
私はその光景に驚き、思わず声を上げた。
「っ！？…ああ、哀川くんか…安心したまえ、もう『大掃除』は終わりだ……」
会長は力無く笑い、私にそう言った。
にしても一体何があったのだろう。いきなり『大掃除』が終わり？その顔と何か関係があるのだろうか。
「か、会長…何があったの……？」
「…君には関係ないよ…ああ、それと…日野くんに悪かったと伝えておいてくれ……」
会長はふらふらと生徒会室を出ていく。相当憔悴しているようだ。
けれど、私はこのまま終わらせていいような気はしなかった。
せめて、せめて一言。真理亜に謝って欲しい。それだけでも、きっと違う気がした。
「か、会長、待って！」
「……？」
会長は不思議そうにこっちを振り向く。
「…あの、ね…真理亜に、一言謝って欲しいの…話せば、きっと…」
私は緊張で上手く話せないが、一生懸命に自分の言いたいことを伝えた。
「…………分かったよ」
会長の顔は疲れ切っていたが、私の必死な姿を見てそう答えた。
「！ありがとう…じゃあ、真理亜に……」
「？紫乃…それに、会長……？」
ふと、真理亜の声が聞こえた。私が話し始めた時、ちょうどいいタイミングで通りかかったのだ。
「！真理亜……！」
「…日野くん」
会長は真理亜の方へよろよろと歩き出した。
「っ！？か、会長、どうしたのその顔……！！」
真理亜は目を見開いた。そりゃあ驚くだろうな。
「…ちょっとね…………ところで、日野くん…」
会長は真理亜をじっと見つめる。
「……？何……？」
真理亜は若干怪訝そうな顔をして口を開く。
「……すまなかったね」
会長は腫れ上がった顔で、虚ろな瞳のまま、真理亜に言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかんの缶詰め | 作成日時：2023年5月18日 19時
