塩中副会長と役員ちゃん【モブサイコ100夢】 (ページ30)

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第29話「大掃除の標的」ページ30

私は同級生について行き、真理亜の元へと向かった。

「はあ！！？なんであたしが！？」
「君は遅刻に加えて授業中の居眠り、忘れ物、それに成績不良も挙げられているんだ。不良と何ら変わらないじゃないか。」

駆けつけてみると、生徒会長の神室真司君と真理亜が何やら言い争いをしていた。

「！真理亜、会長…！」
「！紫乃！ちょっと聞いてよ！会長が、私も大掃除の対象にするって言い出して…！」

こんなに表情の真理亜は今まで見たことがない。よほど驚き、どうしたらいいのか分からないのだろう。

「！会長、どうして真理亜を…」
「今言った通りだよ。彼女の素行はあの不良たちと変わらないんだ。そんな生徒は学校に悪影響しか与えない。」

会長は濃い隈が刻まれた生気のない顔でこちらを見る。

「君だって、彼女がどういう人間か分かっているんじゃないかい？」
「…！！」

まっすぐ見つめられ、私は警戒する。

確かに真理亜は会長の言った通りの素行で、「優等生」とは言えない。けれど、誰だってそのような経験はあるし、真理亜は本当に優しくて思いやりのある女の子だ。会長は、真理亜の良くない部分だけを切り取っている。

「そ、そんなことないよ…！真理亜は、不良なんかじゃ…」
「…君は、生徒会役員なのに不良の味方をするのかい？」

会長の瞳が私を射抜く。その瞳に、私は思わず黙ってしまった。

「ちょっと、紫乃が怖がってるじゃん！」

真理亜がすかさず私を庇う。こんな時まで友達に庇ってもらうなんてあまりにも自分が情けない。

「っ…真理亜、大丈夫だよ…。会長、真理亜は大掃除されるような人間じゃない。だから、やめて…！」

私はこれでも勇気を出して会長に言う。

「…へえ……そうかい。」

彼はじっとこちらを見た。ぞっと悪寒が走り、背筋が凍りそうになる。

「…まあ、よく考えることだね。君は生徒会の人間なんだから。」

会長はそういうと、踵を返して去っていった。

「…何あれ！？どうしてあたしがそんな…！」

真理亜は怒りが収まらないようで、大声を上げる。

「…ごめんね真理亜…私……」

解決したとはとても言えない状況で、私は自分の無力さを痛感した。

「！紫乃のせいじゃないよ！」

彼女は私を庇うように言った。

「…っ…大掃除の対象って…あたし…どうなっちゃうのかな……」

真理亜は不安そうな顔で呟いた。

(…真理亜…)

私は何も言えず、そんな彼女をただ見つめていることしか出来なかった。