塩中副会長と役員ちゃん【モブサイコ100夢】 (ページ29)

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第28話「新学期の暗雲」ページ29

それから、私たちは新学期を迎えた。
席替えやら進路説明会の知らせやら何やらでバタバタしていたが、またいつもの日常に戻りつつあった。

副会長は相変わらず厳格で七三分けであった。そして真理亜はあれほど意気込んでいたのにも関わらず、遅刻したり宿題を忘れたりして若干萎えていた。いつも通り元気なのは変わらないけれど。

だが、そんなある日の放課後のことだった。

脳感電波部の部室で本を読んでいると、廊下で何やら生徒会長と不良が揉めている声が聞こえた。

「…また、『大掃除』か…………」

ー生徒会による学校の不良一掃計画、通称『大掃除』が執行されたことにより、うちの番長・鬼瓦天牙君をはじめ、校内の不良たちが次々と潰されていった。

しかし、私は疑問に思っていた。いくら鬼瓦君たちでもあんなことするはずない。あれは、もしかしたら生徒会が何か仕組んだのではないか、と。

けれど、そんな証拠なんてないし、何より私は『大掃除』を執行している生徒会側の人間なのだ。ぺーぺーで口出し出来ない上に、下手なことしたら私が『大掃除』されてしまうかもしれない。

「…あら、紫乃。なんか元気ないわね。何かあったの？」

ふと声のするほうを振り返ると、そこにはトメが立っていた。

「！トメ……いや、廊下で揉めてるなって……」
「！ああ、生徒会と不良のね…結構過激なことやってるわね。」

トメも何となく不安そうな顔をしている。噂では、別に不良ではない生徒にも影響が及び始めているらしい。

「あんたも大変ね。疲れた顔してるもの。」

トメの言う通り、最近クラスメイトや同級生から「生徒会なら何とかしてくれ」「どっちの味方なの？」などと言われ、すっかり参ってしまっていた。

「うん…本当は、不良のみんなあんなことしてないんじゃないかなって思うんだけど…証拠も何もないし…」

私は重いため息をつく。
すると、それと同時に部室のドアが開いた。

「！あ、あの子じゃない！？ねえ、哀川紫乃ちゃんだよね！？」

見ると、そこには真理亜と同じバレーボール部の同級生たちが立っていた。何やら血相を変えて私に問いかける。

「え…！？あ、は、はい…私だけど…」
「ちょっと来て！真理亜が大変なの！」

私はその名前を聞いて目を見開いた。
真理亜に何かあった。そう思っただけで身の毛がよだつ。

私はすぐさま立ち上がり、その子たちに真理亜の元へと案内してもらった。