第20話「誕生日」 ページ21
「何と、今日はここにいる紫乃の誕生日でもあるんだよ！皆でお祝いしつつ、お祭りを楽しもー！」
真理亜がそういうと、男性陣は驚きの表情を見せた。
「先輩、七夕が誕生日なんですね…！おめでとうございます。」
「何だかすごいロマンチック…！あ、す、すみません、俺たちプレゼントとか何も…💦」
あわあわとしている後輩二人を見て、私も慌てて言葉をかける。
「ふ、2人とも、全然大丈夫だよ…💦今初めて知ったんだもん、当然だよ。」
私は先輩ぶって、にこ、と笑みを返した。
「それにしてもかなり珍しいわよね、七夕が誕生日だなんて。何か願い事が叶いそうな気がするわ。」
「！そ、そんなことないよ……願いなんて、今まで一度も…」
トメの言葉に、私はつい本音を漏らしてしまう。
七夕に生まれた私だが、願い事なんて今まで一度も叶ったことがない。神様だけに頼らず色々と努力しているつもりだが、私の努力なんてしてるうちに入らないのだろう。
「？何か言った？」
「！う、ううん！何でもないよ！💦」
幸い、それはトメたちには聞こえていなかったようで、私は慌てて取り繕った。
「さーて、それじゃあ早速みんなでお祭りに行こー！紫乃、今日はいっぱい楽しもうね！！」
真理亜は笑顔でそういうと私の手を引き、神社の階段を昇っていく。
「あ、ちょっと待ってよ！」
「先輩！」
後ろからトメやモブ君たちも追いかけてくる。
「早く来ないと置いてっちゃうぞー！…紫乃、誕生日おめでとう！プレゼントは、後でのお楽しみね♪」
真理亜は笑顔でウインクする。自然にこういうことが出来るのだから凄い。
「ふふっ、ありがとう！…！わあ、色んな屋台あるねぇ…」
私はお礼を言い、改めて会場を見渡す。
焼きそばやたこ焼き、りんご飴に綿あめにかき氷など、夏祭りの定番の屋台が所狭しと並んでいる。
「本当だ！何から行こうかなー？トメたちはどうする？？」
「そうねぇ…たこ焼きやイカ焼き…あら、フライドポテトなんかもあるわね。」
「色々あって迷っちゃいますね」
みんなでわいわいと相談していると、不意に後ろから声が聞こえた。
「おい、哀川。」
今、この場で私をそう呼ぶのは一人しかいない。
振り向くと、そこには案の定副会長が立っていた。
そして、私はこの後一生忘れられない誕生日を迎えることとなる。
第21話「副会長からのプレゼント」→←第19話「七夕祭り開幕」
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作者名：みかんの缶詰め | 作成日時：2023年5月18日 19時
