第15話「梅雨の悲劇」 ページ16
「ぎゃーーー」
そんな私の雄叫びが道中に響いたのは、6月の梅雨のこと。
大雨と強風の中必死で踏ん張って学校へと向かっていたのだが、持っていた傘の骨が風のせいでボッキリ折れてしまったのだ。
しかも、超能力を使いこなせていない私は、傘を直すことも出来ない。こんな天気の中傘無しで歩くなど狂気の沙汰だが、今から家に戻ったら学校に間に合わなくなってしまう。
「ううう…最悪だよ〜…」
私は半泣きになりながらも、仕方なく学校まで猛ダッシュで行くことにした。
とは言ったものの、私は足が遅い上に大雨と強風が容赦なく邪魔をしてきた。
結局、学校に着く頃には全身びしょ濡れになり、慣れない猛ダッシュなどしたせいで満身創痍だった。幸い他の生徒がまだ誰もいなかったので下駄箱で一休みしていた、その時。
「……ん？？」
私の目に、今このタイミングで一番会いたくない人間のシルエットが映った。
「…！！？ふ、副会長……！！！？」
そこには、全身びしょ濡れの妖怪のような私を見て唖然としている副会長がいた。
「な、何があった……？そこで何をしている……？」
副会長は若干引き気味に私に問いかける。
「じ、実は……」
私は恥ずかしさで真っ赤になりながら事の顛末を副会長に話した。
「そうだったのか…それは災難だったな……」
「う、うん……」
副会長は私の話を聞き、私に同情の目を向けた。
「とにかく、全身を拭いてから体操服に着替えた方がいい。そのまま放置したら風邪を……！！？」
突然、副会長は話してる途中で驚いたような表情を見せた。そして、その顔のまま固まってしまう。
「え……どう、したの、副会長……？」
私はその様子を心配しつつ、副会長に近づく。
「！？ち、ちょっと待て！お、お前その服……」
「服……？」
副会長は後ずさりすると、私を指さして言った。
「服」と言われたので、私は自分の着ている制服を見る。
「……んえ」
私は思わず変な声を漏らしてしまった。私の着ているワイシャツは雨に濡れ、中に着ていた下着が透けていたのだ。
見られた。副会長に。
その瞬間、私の中で何かが弾け、それと同時に昇降口の窓や扉が全て開け放たれた。
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作者名：みかんの缶詰め | 作成日時：2023年5月18日 19時
