塩中副会長と役員ちゃん【モブサイコ100夢】 (ページ2)

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第1話「始まり」ページ2

「うう…何で断らなかったんだろ…」

私、こと塩中学校3年生、哀川紫乃は生徒会室で頭を抱えていた。
新学期の委員会決めで、誰もやりたがらない生徒会役員を押し付けられてしまったのだ。

頼まれると断れない性格が災いし、あれよあれよと役員になってしまった私は、今こうして生徒会室で早速雑務をこなしていた。

「…これで、最後だな。はあ、終わった…」

生徒のご意見箱の中身(半分以上ふざけた内容)の確認を終え、私は伸びをして天を仰いだ。

「…何でいつもこうなのかなぁ、私……」

何か面倒なことや誰もやりたがらないことを引き受ける、というのは、私の人生の中で幾度となくあった事だった。

幼稚園の劇の悪い魔女の役、小学校の汚い排水溝掃除係、そして中学校の生徒会役員…

無論私だってやりたくはないが、頼まれるとどうしても断れなかった。

ー「引き受けてくれてありがとう！」と言われることが、嬉しかったから。
その時だけは、みんなが自分を見てくれて、褒めてくれてる気がしたから。

それ以外の場面では、みんな私に話しかけることなんて滅多にない。私なんか誰も眼中にない。

どうせ、この先もずっとそうだろう。今までも、これからも私のこんな人生は変わらない。そう思ってた。

「おい、暇なら書類の仕分けを手伝ってくれ」

背後から、全ての始まりであるその声が聞こえるまでは。