キミは神様

１４ ページ15

「神様が言うんは正論やけど。
世の中はそんなに甘くないねん」


「大丈夫や。
俺がついてるやん」


神様にそう言われたら、ちょっと勇気が出てきた。


「そうやな。
さっきもありがとおな。
鈴木が黒板消しの粉かぶった姿うけた。
ちょっとすっきりしたわ」


「そう、その調子や。
俺、大毅が元気ないと困るねん」


もし、もしもやで。

俺が元気になって、
死ぬなんて考えへんなったら・・・


神様はどこかに行ってまうん？


また別の子の担当になるん？


なんかそれは怖くて聞かれへんかった。











家に帰ったら、
両親ともまだ仕事で帰ってへんかった。


それをええことに、
神様は、
マンションのリビングのソファに堂々と座っとる。


そんで、急に、
俺の手を取るもんやから。


心臓飛び跳ねてしもたけど、
単に、鈴木に定規でつけられた腕の傷を確かめとるだけやった。


「この前の手首の傷、うっすら残ってもうたな。
そのうち消えるはずやねんけど・・・」


綺麗な身体やのに、って、
ぶつぶつ言ってる。


「やっぱ、言い方、ヤラシイよな。
神様のくせに」


「神様でも大人の男やからな」


「うわ。
俺に変な気起こさんとってや？」


「あほか。
流石に高校生なんか、
子供には興味ないわ」


胸の奥がチクっと痛んだ。

なんでやねん。


神様なんかに・・・


「子供ちゃう。
神様と変わらへんやん」


「ちゃうやん。
２７の俺から見たら。
さすがに高校生は子供やろ」


「もうええよ。
別に俺かって２７のおっさんにその気になられても嬉しないもん」


ほんまはさ、ちょっとは意識してくれたらええのにって。


神様は、１０歳も年上には見えへん。


最初は可愛ええなって思っとっただけやのに、

そばにおるうちに、
ちょっとカッコよく見えてきてんな。


たまにやで！あくまで、たまにな！


「そらせやろな。
１０コも違うねんから。
おっさんにしか見えへんわな」


人の気持ちも知らんと、
明るく笑い飛ばしてる。


ふん。


けど・・・


自分でも気付いてる。


神様が来てくれて、
俺、前より明るなった。


死ぬことも忘れてまうぐらい。

１５→←１３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す