キミは神様

１１ ページ12

絶望のあまり、吐き気までもよおしてくる。


「申し訳ありませんでした」


もうほんまに本気で死にたい。


今後、部活だけやなくて、
クラスでも針のむしろや。


「放課後、部活の後、また部室に残れ。
俺がその女の子腐ったような根性を叩き直したる」


鈴木がそう言って、
俺に背を向けて、
教壇に戻りかけた時。


「違います。
あれはそういう事やなくて。
男同士の友情って意味で」


藤井くんが立ち上がって言うのと同時に。


ピシッて、空を切る音が聞こえた。


気付いたら神様が、
教壇に腰掛けて、笑ってる。


それを確かめた時には
鈴木の顔にチョークが直撃しとった。


まぶたに命中したらしくて、


「痛っ・・・」


目を押さえて、しゃがみこんだ。


「誰や？今、チョーク投げたんは？」


立ち上がって叫んでる鈴木。

生徒たちは、周りをきょろきょろ見回してる。


みんな、ざまあ、って顔してんの、
隠し切れてへん。


鈴木は嫌われ者やからな。


「正直に言いなさい」


教室の前の方の席の子たちを疑っとるけど、
そもそもやったんは神様やし。


神様は、俺にしか見えへん。


なんでかっていうと、俺専属の神やかららしい。


「あの、誰も投げてないのに、
チョークがいきなり浮いたんです」


自分に疑いが向けられたと感じたらしい、
細野くんが言うた途端。


今度は、神様が、
黒板消しを鈴木に向かって投げつけた。


またまた顔面に命中。


神様、ナイスコントロールやな。


そんでもって、
得意げな可愛ええ顔して笑って、
俺にピースサインしてやんの。


「なんでやねんっ、くそっ。
重岡、お前、細工したやろ？」


鈴木は俺を疑ってる。


「何もしてません。
ここにおるのに、何も出来ません」


俺が座ってんのは、
最後列から２番目の中央の席。
　

鈴木は、悔しそうに舌打ちした後。


「ええわ。
とにかく放課後、ちゃんと残るように」


チョークの粉まみれの顔したまま、
つかつか俺んところまで歩いて来て。


憂さ晴らしなんか、
いきなし、長い定規で、俺の腕をピシッと叩いてん。


鋭い痛みが走って、赤い筋が残った。


教室がざわつき始めた。

１２→←１０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す