かくやすぶっけん《雪》

にじゅうろく。 ページ28

涼「で、なんでさっき俺の手見てたの？」

「えっ…と…」

涼「なんか気になる？」

「いや、綺麗な手してるなぁと思って…」

涼「え？そう？」



数回瞬きをして、不思議そうに自分の手を眺め。

先程、私がしたのと同じように、手をくっつけて見比べる。



.




涼「嬉しいけど、Aちゃんの方が綺麗だよ。」

「いやいやいや！！そんなこと…」

涼「普通に女性の手の方が綺麗でしょ。」

「えー…？」

涼「あ、まぁ、女性の手っていうか、Aちゃんの手の話だけど。」




そう言うと、彼がおもむろに私の手を取った。


お嬢様、お手をどうぞ…

とでも言い出しそうな雰囲気。


こんなの夢の国の王子様がすることだよ…！



.




包み込まれる手のひらが熱い。


やっぱり、男の人の手は大きいんだな…

あ、ハンドクリーム塗ってないや…




なんて、余計なことは考えられるのに。

何か言い返すことも、手を引くこともできず。

ただ心拍数だけを上げていたら。



.




涼「あ。ごめん、恥ずかしかった？」

「え…と、はい。少し。」

涼「はは、素直だね。」


私がちゃんと素直な言葉を返せるのは、もしかしたら彼だけかもしれない。



.



.




ラ「ただいまーー！！！」

「うわ…！」


涼「おかえり。これからご飯作るよ。」

ラ「お腹すいた〜！」



さっと立ち上がる彼につられて、私も背筋を伸ばす。



.




涼「あんまり無茶なことして、怪我したりしないようにね。せっかく綺麗な手してるんだから。」


と、優しく手を撫でられて。



慌てて振り返るけど、彼はもうキッチンに向かっていて。





ラ「ねー、今Aちゃんになんて言ったの？」

涼「秘密。」

ラ「えー！なにー！気になるー！」


という声が聞こえた。

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