かくやすぶっけん《雪》

はじまり。 ページ1

もうすぐ7月。




いわゆる初夏と呼ばれる季節は



暑かったり、夜は冷え込んだり、


雨が降ってじめじめしたり。




天気にかなり左右される。




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大きめなリュックとスーツケースを手に、



電車で居眠りしながら数十分。




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スマホに表示された地図アプリのナビを頼りに、



慣れない土地を歩きながら。




都会に比べて少し澄んだ空気をめいっぱい吸い込む。




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私が引っ越しを決めたのは、



遠い親戚の経営するパン屋が

人手が足りないというので、



手を貸そうと思ったのが理由。



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正直、毎日満員電車に乗って人にまみれる生活にも嫌気がさしてたし。



いい機会だと思った。



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その親戚の家に住まわせてもらってもいい


という話も出たけど。



向こうにも家族がいるし、


さすがに申し訳ないので家は自分で探した。



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「ここ…かな？」



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すぐに見つかった私の新たな住まいは、


想像よりも大きいし、ずっと綺麗だった。



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シェアハウスの管理人さんが迎えに来てくれる予定なんだけど、


時間より少し早く着いてしまった…



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とソワソワしていると、


道路に立っている男性と目があった。

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