Bitter chocolate

答えは言わないで伝えたいだけだよ 01 ページ24

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『隆弘っ‥‥あの、ね』
《うん？》









　久しぶりに聞いた隆弘の声はやっぱり優しかった。私の大好きなこの声。









『会いたい‥‥会いたいよっ‥‥‥』









　子供みたいに泣きじゃくりながら言った伝えたかった言葉。ちゃんと彼に届いただろうか。急に不安で胸が押しつぶされそうになるのは彼の返事が聞こえてこないからだ。









『たか‥‥ひろ？』
《今、どこ？》
『え？‥‥い、家にいる‥‥』
《わかった》









　それだけ言うとツーツーと冷たい音が受話器から聞こえた。何が、分かったんだろうか。いくら迷惑でももう少し言葉ないんだろうか。精一杯伝えたのに。携帯を無造作にぽんと床に投げてソファーに寝転がる。なんだかとても疲れた。隆弘はやっぱり私なんてどうでもいいんだろうか。もう諦めたほうが‥‥‥ーなんて考えているとドンドンと玄関の方から聞こえる乱暴な音。誰だろうこんな時間に。というか怖いんだけど。だけどそう思ったのもつかの間。インターホンの電源を押して画面に映った人物を見て私は慌てて扉をあけた。









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