Bitter chocolate

君のペースに飲まれたままじゃ 03 ページ13

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「えー！嘘でしょー！ファンだったのにー」
「格好いいもんねーこの人」









　仕事終わり、デスクを片付けている最中に聞こえてきた後輩の女の子たちの話し声。何かの雑誌を見て騒いでいた。









『どうしたの？？』
「あ、主任！見ました？これ！」
『週刊誌？えーと……なになに？熱愛？私芸能人に疎いからなぁ……』
「えー！主任知らないんですか？ほらあのAAAの人ですよ！にっしーですよ にっしー！！」
『…………え？？』









　後輩の口から出てきた名前は私がよく知ってる名前。慌てて開かれた雑誌のページを見るとそこには大きな文字で"AAA 西島隆弘 熱愛！！あの人気共演女優と密会！！"と書かれていた。モノクロの写真に写っているのは深くキャップを被ってサングラスをした人がタクシーから降りている所の写真だった。そこに写っているのは間違いなく隆弘で。そして、その隣に写っていたのはとっても綺麗な顔をした女の人だった。楽しそうに笑い合う二人はとてもお似合いで。



当たり前、じゃない。隆弘みたいな人が私みたいなのだけで満足するはずないって。私とは遊びだって。だけどこんなにも動揺してしまうのは心のどこかで期待していたから？抱かれる度、好きと言われる度どこかで麻痺してしまってた。自分は特別なんだって。そんなわけあるはずないのに。









「主任？？大丈夫ですかー？」
『あ、うん……大丈夫 ごめんね』









　時が、止まったような気がした。









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