おチビな鴎ガール 2

※ ページ36

荻野side

おっ、大河とAやん。

監督も言っとったけど、大河のこともう少しよく見ててやらんと。

トレーニングは、適度に無理せずやから。特に、心臓の弱いAにとって、オーバーワークは禁物や。


大河『荻さん、トレーニングの間、A見ててもらってもいいですか？』

えっ。ちょっと拍子抜け。

『あっえっ。うん。いいけど…。トレーニングはいいの？』

大河『ここんとこ、毎日頑張ってるし、今日は、トレーニングはお休みでいいかなって。』

『そうなんや、A。おいで、たーくんと遊ぼう』

そういうと、Aは、大河から離れて、こっちへ来た。

大河『じゃ、すみません。お願いします』

『OK』

大河と離れて、Aと散歩しようと抱き上げた。

A『たーくん。おりる』

『ん？どしたの。抱っこ好きでしょ(^ ^)』

A『…。あんよ、しなきゃ。とれにんぐ』

えっっっ。自分からトレーニングって。いつから、そんなストイックになったのか…。


『兄ちゃんが、今日はトレーニングしなくていいよって。だから、無理しなくていいよ』


A『…んーん。やる。…やらなきゃ』

『A。ここんとこ、結構あんよしてるらしいし、そんな毎日頑張らんでも、いいんだよ』

それでも、Aは、首を横にフルフル振って、いつものように歩きだした。1人にするわけに行かないので、一緒に行くと5分ぐらい歩いた所で立ち止まり、肩で息をし始めた。

『A。苦しいんじゃないの？』

それでも、首をフルフルと横に振り、息を整えてから、ズンズン歩いていく。

いったいどうしたのか。いつもなら、『ちゅかれた…だっこ』って言うのに…。

ここ最近のトレーニングの成果なのか、結構な距離を歩くA。

『A。もう、無理しなくていいから。』

そういって、捕まえて抱き上げると、ハァハァいって、肩で息をしてるA。

A『…たーくん。あちゅい…』

額に手を当てると、明らかに熱い。

『あかんわ。明らかにオーバーワークやん』

無理をすると、熱が出る。そんなことはわかってるのに、この時は、この子がなぜこんなに無理をするのかわかってあげれてなかった…。

※→←切ない思い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す