おチビな鴎ガール

ロッテにも女神を ページ1

大河side

僕には、年の離れた、血の繋がらない妹がいる。
Aには、両親がいない。Aが、1歳半の時に事故で2人同時に亡くなった。

それからのAは、親戚から煙たがられ、体が弱かったAの事を放置したり、虐めたり、挙げ句の果てには、施設へ。

遠い親戚にあたる、我が家へも連絡があったが、千葉にいたAを忙しいうちの両親が引き取ることは不可能で結局、Aは施設に入った。

俺は、Aを不憫に思い、オフになるとAに会いに行った。

外出許可ももらい、球場へ連れて行ったり。
合宿所へも連れて行った。

Aは、俺の事を『にぃに』と呼んで懐いてくれた。別れ際は涙ポロポロ流して
『にぃ、こんどはいつくる？』と言われるたびに胸が痛んだ。

ある日、井口さんに呼ばれた。

井口 『大河、お前、日ハムの谷口雄也って知ってるか？』

『知ってます。交流はないですけど』

名前は知っているし、相手はそこそこ有名だけど、俺はまだ野球選手になって2年目の駆け出しなので、交流なんてない。

井口 『谷口の妹な、日ハムで面倒見てるんだよ。とっても可愛い子でね。何より、チームが彼女のおかげで凄くいい雰囲気で。相手チームからも本当に羨ましがられるほどの子なんだよ。』


『そうなんですか。あっ、そう言えば見た事あるかも。ずーちゃんともよく遊んでますよね。大地さんとか。』


井口 『そうそう。俺はさ、来シーズンから監督になる。お前の妹をロッテで面倒見たいと思ってる。何より、オフの度に施設に通う、お前を見てて、きっと力になってくれると信じてる。』


『いや、井口さん。でも。そんなこと出来るんでしょうか？』

井口 『俺に監督という話が来た時から、ずっと考えていたんだ。日ハムで前例を作ってくれてるから、上の了解もとってある。あとは、大河、お前の気持ち次第だ』


Aと、ずっと一緒にいられる。そんなに嬉しいことはない。ただ、井口さんが知らないことがあって、そこをクリアにしないとAを引き取るのは不可能だ・・・

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