ステップブラザーズ3

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剛典side




「樹、起きて」






樹「…ﾑｽｯ」





昨日、樹と喧嘩をしてしまった







撮影で子役の子と関わっていて

樹は現場に連れて行けないから

事務所でお留守番

その時点で、少し機嫌が悪かった



家に帰って、SNSのチェック

子役の子と一緒に撮った映像を

公式さんが載せていて

それを再生した時だった





横で大人しくテレビを見ていた樹が

いきなり手を伸ばしてきて

俺のスマホを投げつけた





ﾊﾞﾝｯ






「！？…樹？」





樹「…」






「何やってんの？」





自分でもびっくりするくらい

低い声が出たと思う






樹「ﾋﾞｸｯ」






「スマホ拾って」





ぎゅっ…






俺の話を無視して、足に跨り

抱きついてくる





「話聞いてた？さっさと拾って」






「早く離れろ」






「樹、本当に」





全く聞く耳を持たない




だから無理矢理、嫌がる樹を離した





嫌だ嫌だって、小さい声で

何度も繰り返す樹







「俺も嫌。くっつかないで」





「何で仕事の邪魔するの？」





樹「…」





「あんな事して黙り込むの？

ズルい子なんだね、樹は」







樹「ずるくない…」





「じゃあ何であんな事したの？」





樹「剛典君がバカだから」





「樹の方がバカでしょ」




樹「んぅ…剛典君なんか嫌い」





「俺も樹の事嫌い」






樹「…ｯ(泣)」






そのまま部屋に籠った樹




大人気ないのはわかってるけど

スマホ投げたり、無視したり

樹にだって悪いとこはあった






「はぁ…疲れてんのかな」





いつもなら、樹にあんな事しない

でもそろそろ、俺が誰かと一緒に

仕事をする事に慣れてもらわないと…






そして、冒頭に戻る





起きたはずなのに、俺に背を向けて

絶対にこっちを見ない






「樹、学校遅刻するよ。早く起きて」





布団を捲ると嫌そうに起き上がった樹





いつも朝起きた樹の頭を撫でるから

その癖で、頭を撫でようと

手を伸ばしたら、避けられた




1人で顔を洗って、歯を磨いて

着替えて、準備をして…って




「樹、朝ご飯は？食べてよちゃんと」





樹はテーブルの上のご飯を見て


何も言わずに玄関に向かった





「ちょっと樹」




腕を掴めば全力で振り払われる






「樹？」






樹「…」






「昨日の事まだ気にしてるの？

もう怒ってないよ、ごめんね」






樹「…」






ｶﾞﾁｬﾊﾞﾀﾝ







そんなに怒らせた…？

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