ミラージュ

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....夢？そんなわけない

だって今慎太郎は確かに目の前にいるんだもん





｢....夢なんかじゃないでしょ？｣


『夢なんだって』


｢....あ、そういうことか、
私がずっと慎太郎が死んじゃったっていう夢見てただけで、｣


『A、』





身体を離して慎太郎の顔を見れば、

強く名前を呼ぶ口調とは裏腹に優しい表情で私を見つめていた






｢....なに｣


『俺はもういないの、Aとも一緒にいられないの』


｢.....、｣


『....だから、Aが一緒にいたいと思う人と一緒に過ごしてほしい』


｢....しんたろ、｣


『めちゃくちゃ変人だけど良い奴でしょ、北斗』


｢.....、｣


『悔しいけど北斗なら安心できるな〜俺』





表情、仕草、なにもかもがあまりにもリアルすぎて

これが夢の話といわれてもなかなか理解ができそうにない




慎太郎が夢に出てきたことなんて何度もある

でもそれは全部昔の思い出が蘇ってくるものばかりで


こんなに現実味のあって、未来のことで彼の夢を見ることはなかった







｢....慎太郎、？｣


『ん？』


｢私慎太郎が大好きだよ｣


『俺はAのこと愛してるかな〜』


｢....そんなこと言ったら、私だって愛してる、
....多分、いや絶対、私の人生で一番愛してる人、これから先も｣


『うん、俺も』


｢....でも、これからは他の人と生きてく
私の人生に色を差してくれた人、....そばにいてほしい人｣


『....うん、幸せにしてもらうんだぞ？』


｢ヤキモチ焼かないでよね、(笑)｣


『それは約束できないけど、』





涙で視界が歪んできて慎太郎の姿すらぼやけてきた

だけど慎太郎が一歩私に近づいたのだけは理解できる




『....俺Aのことまだ待ってないから、
もうあんな真似はやめて、ちゃんと長生きして？俺の分まで』




最後に、大好きな優しい慎太郎の笑顔が見えた








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