ミラージュ

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｢....ごめんなさい、こんな話｣





ずっと黙って聞いてくれていた彼だけど

ここまで細かく話す必要もなかったかなってちょっと後悔した






『....それがこの海？』


｢そうです、1年ぶりに来ました｣


『泣く？』


｢....知らない人の前で泣くほど弱くないです｣


『ふーん』






やっぱりよく分からないなこの人、


普通の人ならよく頑張ったねとかそういうこと言いそうなのに




.....別にそんな言葉求めてないからいいんだけど






『そろそろ眠たくないですか？』


｢....はい？｣


『一緒寝ません？』


｢何言ってるんですか｣





あくびをしてそのまま砂浜に寝転がりだした彼



『あ、意外に気持ちいかも』


あなたもどうです？なんて言ってくるから


｢私は大丈夫です｣


ってそれだけ返した






ただボーッと大きく広がる海を眺める




本当だったら今頃私は慎太郎の元に行けてたのかな

なんでまだ生きているんだろう

なんで見ず知らずの男性と一緒にいるんだろう



色んなことが頭をよぎる



慎太郎のことを思い出していたのもあって
視界がぼやけてきた





｢....っ、｣


『....俺寝てますから』




声出さないように我慢してたら聞こえてきた彼の声



彼なりの優しさなんだって気がついたら
全てが限界をむかえて子どもみたいに泣きじゃくった







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