近くて、遠くて。-2-

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｢....思わせぶりなこと、言わないでほしいです｣


『思わせぶり？』


｢会いたかった、とか俺のもの、とか｣



そういう目で見られてないって分かってる分
苦しくて仕方がない




｢....会話、聞いちゃって｣


『なんの？』


｢狙ってる子いない、とかそういう目で見てる子いないって｣


『....あー、？』



そんな話したっけとでも言いたそうに
思い出せない様子

覚えてないっていうのもそれはそれでなんか悲しいような




『....うん、そっか、んーーーー』



必死に私を慰める言い訳でも考えてるんだろうな

こんな話するんじゃなかったな、せっかく幸せな気持ちだったのに






｢すみませんなんか変なこと言っちゃって｣


『いや、んーーーー、それで髪結ぶのやめちゃったの？』


｢....アピールするのも無駄かなって｣


『俺ちょっとキュンときちゃってたんだけどな〜』


｢え？｣


『俺が可愛いって言ったらすぐそれを実行してる姿がさ、
健気で可愛いなーって』


｢....有難う、ございます....｣



あ、また照れたーってまた私をのぞき込むように笑いかける

それだけで騒がしくなる心臓の音




『だから無駄なんかじゃないし』


『俺結構独占欲強いってこと、覚えといて？』


｢はい、？｣




今の話にどう独占欲が強いってことが繋がるのか分かんないけど。



まだチャンスはあるってことでいいんだよね




『よし、いい子いい子』



そうやってまた頭をわしゃわしゃしてくる先輩

でもさっきより自分の中の負の感情が消えたから
純粋に嬉しい気持ちでいっぱい



『じゃあ俺教室戻るわ、じゃあねあんずちゃん』


｢あ、はい....！｣




先輩を見送って、深呼吸をする

ひとつ、心の中のモヤモヤが晴れた気がする、良かった







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