近くて、遠くて。 (ページ9)

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心と樹くんとは解散して、
慎太郎との帰り道

｢心も樹くんも面白い人だし、これから楽しみだね｣

『これからは学校でもAと一緒かー』

｢内心喜んでんじゃないの～？｣

『え、普通にうれしいけど』

｢なに、急に...｣

『別に？』

今までも普通に仲は良かったけど、
登下校はバラバラだったし、
学校でもお互い男子の友だち、女子の友だちといて
一緒にいるわけではなかったから

からかい半分で言ったつもりなのに
真顔で嬉しいなんて言われると調子が狂う

『てかさー』

｢ん？｣

『さっきのって本気？』

｢さっきの、って？｣

『一目惚れ、みたいな』

｢本気に決まってんじゃん(笑)
あー慎太郎が思い出させるからまたドキドキしてきた！｣

くるくる回りながらおどけてみせれば

『....ふーん』

って何か考える様子の慎太郎

｢なにどしたの｣

『....、んーん？また先輩だなーって(笑)』

｢中学のときもそうだったもんね～、
やっぱ私年上好きなのかもな～｣

『年上からしたらAはガキにしか見えないって』

｢少しくらい背伸びすれば大丈夫なの～｣

『.....、そのままでいいっつーの』

｢なに、何か言った？｣

慎太郎がボソッと言った気がしたけど

『なんでもない』

｢そ？｣

そう言うからスルーした

『まあせいぜい上手くいくといいですね』

｢えへへ｣

そして感情のこもってないようなこの言葉を
何も気にせずに私は受け入れた

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