近くて、遠くて。 (ページ49)

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それから１週間くらい経ってからだった

慎太郎と話をする時間があったのは。

何事もなかったかのように

『花火しようぜ』って

２人で夜の海に向かった

お互いいつも通りのつもりでも
どこかぎこちなさは拭えなくて

『気まずいの嫌だから先に言うけどさ』

花火を袋から出しているときに慎太郎が口を開いた

『....この前のは、ごめん』

顔を下に向けたまま話し続ける慎太郎

｢ほ、ほんとだよ(笑)びっくりしたんだからね？｣

なるべく気にしてないように私も無理やりテンションを上げて話す

『あー...っと、間違い、だから』

｢....間違い？｣

『いや、間違いっていうか、それは違うか、
なんだろ、するつもりなかっ、』

｢....そんなこと言われなくても分かってるし！(笑)
お互いにとってノーカンにした方が良くない？(笑)｣

『A、』

｢慎太郎には好きな子いるんだし、
私も大我先輩が好きだし、忘れよ？この前のは｣

『....Aは忘れたい？』

....まただ、何かを堪えているような切ない表情で
私を見つめる慎太郎

なんて答えることが正解なんだろう

｢....私は大我先輩が好きだもん｣

一瞬表情が歪んだ気がしたけどすぐに笑顔になって

『....そ、っか、そっかそっか！そうだよな！
じゃあ～この間のはなかったってことで！よし、
あ、京本先輩にも絶対言うんじゃねえぞ？』

｢....言うわけないじゃん｣

『そりゃそうか！』

不自然なくらい饒舌になって
夜でもまぶしいくらいの笑顔を見せてくる慎太郎が
理由は分からないけど痛々しいって思ってしまった

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