近くて、遠くて。 (ページ27)

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｢....うぅ、気持ち悪....｣

キャンプ当日、
目的地に向かうために絶賛バスで移動中なんだけど

『ねぇ本当に大丈夫？前の席移動する？』

｢....い、いや、このままでいい....｣

めちゃくちゃ酔いました、乗り物酔いしやすいんだよね

事前に決めるときに酔うから前の方がいいって言ったのに
慎太郎と樹くんは無視して1番後ろの席になった

全然気遣いになってない気遣いで窓側にはしてもらったんだけど

『もう少しでトイレ休憩だから、頑張って』

こんな感じに心はずーっと心配してくれてるのに
慎太郎も樹くんもバス内で開催されているカラオケ大会に夢中

本当に気を遣えない男たち....

そうしているうちにトイレ休憩の場所に着いた

異常な酔い具合にみんなに心配された
それでも席変わる？って言葉は誰も掛けてくれない、薄情だ

外に出て山地に近づいたからか
いつもより澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込む

『お前そんな酔うタイプだったっけ』

トイレから帰ってきてそう言う慎太郎に
言葉を返す気力もなくただ睨みつける

『ごめんってそんなだと思わなかったんだもん』

そのまま私の手を引きバス内に戻る

そしたら先生の後ろの席で立ち止まって、
ここ座れば？って

こんな前から２列目とかいう場所が空いてるなら最初から教えてくれよって
思いながらも有難く席に座った

窓を開けて深呼吸をする

....だいぶましにはなったかな

｢え、慎太郎も座るの？｣

後ろの席に戻ったはずの慎太郎が隣に座ってきたからびっくりした

『首藤さんに樹は頼んだって言ってきた』

｢いいよ私１人でどうせ寝るだけだし、
慎太郎楽しそうに騒いでたじゃん｣

『俺の肩で寝なさい』

その言葉と同時に頭ごと慎太郎にもたれるように
抱き寄せられた

｢....ありがと｣

『はいよ』

ここは慎太郎の優しさに甘えることにした

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