unusual -2-

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虫たちの鳴く声しか聞こえないこの空間

沈黙を破ったのは樹の言葉だった




『正直言っていい？』


「…うん、なに？」


『Aに会わないこの１ヶ月弱…くらい？超楽だった』



息が止まるかと思った

上手く息が吐けなくて、苦しくて、辛くて、



『悩む必要ねえし、不安になる必要もねえし、なんかすっげー楽でさ』



頭が真っ白になる

どんな話をするかくらいわかってたのに、
いざ樹の気持ちを知ると苦しくて苦しくて、自分が嫌になる





『でもやっぱ物足りなさはあんの、Aいないと』


「……」


『やっぱ俺ってAのこと超好きなんだなって実感してしまう期間でもあって』


「……」


『…んー、だからなんて言うんだろ、結局俺はAが好き、
だけど、今の俺はAといるのがしんどいし、…今のA見てると腹が立つ』


「…え、？」



前傾姿勢になって太ももに腕をついた樹

完全に表情が見えなくなってしまって
感情の判断材料が声しかなくなってしまった




『…あいつのことが好きならなんでいつまでも俺の横にいんのって思うし
…いやそもそも俺の彼女のくせして過去の男思い出してんのに腹立つし、』


「…ごめん」


『ごめんじゃなくて、Aの気持ちが知りたいの俺は』



“今俺全部思ってること言ったんだから次Aの番でしょ”




…私の気持ち、か








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