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『Aさん、かな?』


少し不安げに言葉を発した先生

1発で当ててもらえた嬉しさと、
先生に名前を呼んでもらえた嬉しさとで



「……っ」


上手く言葉が出てこなかった





『あ…2分の1外しちゃった?』


「…いえ!正解です!Aの方の高橋です!
なんでわかったんですか?」


『…秘密』




悪戯に笑う先生の表情に、確かに胸が高鳴ったのがわかった


ほんのついさっきと先生の見え方が全く違って、
自分でもびっくりするくらいには怖い

暗くて堅くて真面目だって思ってた第一印象から
ほんの1時間程度で気持ちが変わってしまった





『…なんか質問あったんだっけ?』


「へ?」


『いや、ほら、急に呼ばれたから、
なんかわかんないところあったのかなって』


「…いや、大丈夫です、完璧です…!」



“なら良かった”

そう言ってもう一度背中を向けて歩きだした先生

その姿が見えなくなるまでずっとずっと見つめていた






急いで教室に戻って凛に今のことを話すと


“もう1人の高橋、男だから名前で分かるでしょ”

って一蹴りされてしまったけど、


それを“秘密”で隠す先生のお茶目さが見えた気がして
それすらも嬉しくなった





『あの先生のこと好きになったの?早くない?』


「わかんないけど、なんか惹かれる」




先生の口から出る英語が好き

そして、なんかわかんないけど先生に興味がある




そんなあやふやな感じで
出会って初日、先生への片想いが始まったんだ



















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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時

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