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『ん、可愛い』
「ほんと?おかしくない?」
『おかしくないよ』
同窓会前、わざわざ樹が家まで来てくれた
きっと私の不安な気持ちを汲み取ってくれたのであろう
この行動は彼の狙い通り、私の小さな不安を取り除いてくれる
『Aの友だちも一緒に乗せてくわ』
「え、申し訳ないよ。元々凛と2人で行く予定だったんだし」
『俺がなんのために車でここまで来たと思ってんの』
“俺に連れていかれなさい”
そう言って私の鼻先にちょんと触れてくる彼は
多分いつもよりは遠慮してる
いつもなら髪わしゃわしゃしたり頬を潰してきたりするのに
お母さんに車で送られてくるらしい凛を家の前で樹と2人で待つ
何度も聞こえてくる深いため息が
私たちの今の心情を物語っている
『なあ、』
「あ!凛ママの車だ!」
『お、来た?』
車から飛び降りるやいなや猛スピードで私に抱きついてくる凛
そりゃそうだよね
東京の大学に進学した凛は
ちょうど1ヶ月ほど前に1年の海外留学から戻ってきたばかりで
なんだかんだで会うのは高校卒業ぶりだった
『うわ〜Aだぁ〜』
「やばいね、凛、久々すぎる」
ずーっと抱きしめ合っていると凛越しに樹と目が合う
呆れたような、だけど優しい瞳で見守ってくれている樹
そうだ、凛に紹介しなきゃって思ってそっと身体を離す
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年11月21日 23時