unusual (ページ26)

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「私にとってこれは普通の恋です」

『高橋さん』

「好きになった人が先生だっただけでごく普通の片思いですよ」

凛も言ってくれたもん

私は普通の恋をしているだけなんだって

だから、他の人にとっては普通じゃなくても
私は先生を好きでいるのをやめない、絶対に

『…高橋さんらしいわ』

「…当たり前です」

『じゃあ、1つの提案として一応受け取ってよ。
“普通の恋、したら？”ってのはさ』

先生はまだ複雑そうな表情のままだけど

もうそれは見ないふりをすることにした

「ねえだから教えて？あの人が彼女なのかどうか」

『…仮にそれ知ったとして高橋さんはどうするのよ』

知らないし想像もつかない

もし先生に彼女がいる世界なんて

ただ先生の口から否定の言葉が出てくるのを
祈ることしかできないし

先生に彼女がいようがいまいが結局私は

「先生に片想いし続けるだけです」

先生が久しぶりに笑った

困ったように、だけど優しい笑顔を見せてくれた

『なんか、高橋さんには敵いそうにないね』

「え？」

『ううん、なんでもないよ』

カチャンという音と共にシャーペンが床に落ちる

それを先生が拾ってくれて受け取ろうとしたのに

なかなか手を離してくれなくて受け取ることができない

「先生？」

『…こんなこと言ったら変に期待させちゃうから
言いたくないんだけどさ？』

先生とシャープペンシル1本で繋がったまま

先生の優しい声に耳を傾けた

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