unusual (ページ17)

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「……あ」

身体が固められたようにその場から動けなかった

徐々に遠ざかる先生の後ろ姿

人の波に飲まれて見え隠れする先生の横顔は

…今まで私が見たことのない笑顔だった

“付き合いたいなんて思ってない”

“別に先生と一緒にいられるだけで幸せだからなぁ”

そんな感情を抱いて過ごしてきたこの半年と少し

全部全部、強がりだったみたい

『A……』

「…先生に、女兄弟いたの知らなかったな〜」

『……』

「新学期になったら問い詰めとく！！
お兄さんがいることしか聞いてなかったんですけど？って」

『A、』

いつまでも目を離せずにいた

先生の姿が見えなくなっても、
さっきの先生の笑顔が頭から離れてくれなくて

私じゃない、知らない女性の隣で幸せそうに笑う先生の横顔を
ただこっそり見つめるしか出来なかったことが悔しくて

…いつになっても先生の元に私の声が届かないのが悔しくて

「…予約もうすぐだっけ」

『…あ、あと5分だ、走るよA！！』

「え、待って凛〜！！」

先生と女性の存在をかき消すように

さっきまで先生が歩いていた道を全力で走った

凛と一緒に腕も振り回して、全部全部消した

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