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『…や、うーん、そうね』

「そんな言いにくい理由？」

覚悟を決めた様子の先生が1つ咳払いをして口を開く

『あなたの存在』

「……え？」

『なんというか、高橋さんは見届けたいって思ったから』

「え、え、私がここにいるから残ったってこと？」

え、そういう解釈しても大丈夫だよね？

自惚れとか勘違いとかじゃないよね？

目の前の先生は目を閉じて点を仰ぎながら
恥ずかしそうにしてる

もうそれが答えじゃん………

予想だにしてなかった先生の反応に
心がざわざわしていくのがわかる

『その言い方すると変な感じになっちゃうじゃん』

「でも要するにそういうことでしょ？」

『まあ…うん、そうね、そういうことになるか』

さっきまで騒がしかった蝉の声すら耳に入らなくなった

それくらい嬉しくて嬉しくて。

今までの小さな背伸びも何もかもが
ひとつも無駄じゃなかったんだって思えた

『…ニヤニヤすんのやめなさいよ』

「え〜？だってぇ！嬉しいもん」

『…口外禁止』

「先生と私だけの秘密ですね！」

これが先生と私に生まれた初めての秘密

この秘密をずっと宝物みたいに大事にしていた

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