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19時を2分程過ぎたころ、インターフォンが鳴った
『来た』
「…あ、今出る…!」
カーテンを閉めて、電気を消して、
彼が待つエントランスまで向かう
エレベーターの中で前髪も整えて、深呼吸
「お待たせ…しました」
『別に』
「有難う…わざわざ来てくれて」
『早く行こ』
急ぎ足で駆け寄って彼の隣に並ぶ
講義が被ってないから、今日初めて会うきょも
いつものこの曜日はきょもに会えないから
わざわざこの日を指定されたことが少し嬉しかったりする
『なに』
「ううん」
その嬉しさがこぼれちゃっていたのか、
ずっと彼の横顔を見上げてしまっていたらしい
「ていうか樹たち、タイミング悪かったね」
『あー、ゲーム?』
「そう、ここ被る?みたいな」
正直、樹と慎太郎といつ発売いつ発売って
ずっと話してたゲームだったから
なんでわざわざ今日なの…って気持ちになってはしまった
まあ別に慎太郎の家ならいつでも遊び行けるからいいんだけど
『…なら向こう行けば良かったんじゃん』
「へ?…あ、いやそういうことじゃなくて」
『すげぇやりたがってたじゃん』
「まあそう…だけど、慎太郎とゲームはいつでもできるし」
『ふーん』
「きょもと星、はそう簡単に見れそうにないし」
『……』
どんな要件が重なったとしても、
きょもとの約束を優先するしかないでしょ
2人きりで星見るとかほんとに類まれなる奇跡だろうし
何も言わない彼の横顔を見てふと思う
こうやって2人でいると中学生に戻った気分になる、なんて
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時