97 ページ7
・
“🔎 トマトジュース 克服“
昨日の夜から見ているページをまた開いてボーッと眺める
急に思いついたことだし、克服したところで感は否めないけど
彼の好きなものを共有したいって気持ちが消えなくて
今日も早く着いちゃった講義室で朝から考えてるわけだけど
『…トマトジュース、克服…』
後ろから聞こえてきた声に慌てて振り返る
まだ眠たそうな目を擦りながら口元だけ笑ってる
「…勝手にスマホ覗かないでよ」
『勝手に見えただけ』
「じゃあわざわざ口に出さないで」
よりによって本人に見られるなんて
いつもきょもと樹は時間ギリギリに来る人だから
こんなに早く学校にいるなんて思わないじゃん
ほんとこういうの見てる時に限って…最悪すぎる
『克服すんの?』
「…したいだけ」
『なんで』
大体来た順に隣同士に座っていくんだけど、
きょもは絶対私の隣には座ろうとしない
余程私の隣が嫌なのかなんなのかわかんないけど。
今だってわざわざ私の後ろの席に座って話しかけてくるから
私も身体を後ろに回転させて話を続ける
「…美味しそうに飲むから?」
『なにそれ』
最もらしい理由が思いつかなくて適当に口にした
それを聞いて口に手の甲をあてて楽しそうに笑うきょも
静かな講義室に彼の笑う声だけが鳴り響く
・
1334人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時