127 ページ37
・
『…星鏡だ』
「…うん、きょもが教えてくれた星鏡」
私の隣にしゃがんで同じように川に手を突っ込んだ
水で遊ぶようにしながら、
反射するたくさんの星を輝かせるきょも
私も真似して遊んでいたら不意に手が触れて
そのまま指が絡められる
「…っ」
私たちの息をする音以外何も聞こえないこの空間で
時間すら止められたような感覚になってくる
何度も何度も愛おしいものを撫でるかのように
手の甲を親指で擦ってくるから
肩が触れ合うような距離で隣に座るきょもが近いから
その手を見つめるきょもの眼差しがとても優しいから
……息ができない
『ねぇ』
「…ん、?」
『名前呼んで』
…名前、これって
『中学の時みたいに』
「…た、いが」
『もっかい』
「…大我」
『それから』
ただ、彼の次の言葉を待つ
静かな世界に彼の唾を飲み込む音が大きく響いた
そんなに重要なことを言うつもりなのかな
どこか不安で、覚悟を決めて彼の顔を見てひとつ小さく頷いた
『…もっかい』
「…大我、?」
『もっかい俺の事好きになって』
・
1334人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時