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『照れてんの?』
「…照れてない」
『俺は今日恥ずかしかった』
「…どういう意味?」
『浴衣のせい』
目が合って、心臓が跳ねた
たった今、彼の目を見れないって思ったばかりなのに
1度視線が絡まればそれから逃れることができない
ほら今だって
どんどん吸い込まれそうになるこの感覚
目が、離せない
『星見たいんでしょ』
「あ…うん」
手を引かれて立ち上がる
そして河辺に近づいて、反射した星をじっと眺める
なんでなんだろうな
昔から星空自体好きなんだけど、
それよりも反射して見える星たちばかり目がいっていて
水に反射して見える星の方がキラキラして見えて、
自分の手が届きそうな錯覚があって、
自分が星を捕まえられそうな気がしていた
そんなわけないのにね
きょもの隣でそれを見て、改めて好きになった
そしてきょもがそれに“星鏡”だって名前を付けてくれて
ますます好きになった
『その横顔』
「…ん?」
『その横顔が好きだった』
「……」
『ずっと見てたかった』
…なんで
なんでそんな悲しそうな顔をするの
まるで昔を悔やむようなその表情
『Aちゃんの隣にいたらいつか星に手が届きそうで』
また…あの日のように空に手を伸ばすきょも
私も同じように手を伸ばした
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時