星鏡-3- (ページ34)

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自分の足元から聞こえる下駄の音色と遠くから聞こえる会話

左手を辿ればきょもの右手としっかり繋がれていて
この空間が、雰囲気がとても心地よかった

ちょうど目的地についた頃、打ち上げが始まった花火

手を繋いだまま一緒に夜空を見上げて

大量の光と花を身体全体に浴びた

『浴衣、座れんの』

「うん、座れるよ」

花火が全部終わってようやく座ることにした

連れてきてくれたのはこの間とはまた違う河川敷

ここは本当に私たち以外人が来ることはなくて
2人だけ違う世界にいるような感覚だった

「…去年さ、なんだかんだ花火見れてなかったから
ほぼ初めてだったんだけどすごい迫力だったね」

『俺も今年初めてまともに見た』

「え？きょもは普通に見れたんじゃないの？」

『探してたから』

「……」

“Aちゃんのこと”

そう言って綺麗な指を私にさしてきた

申し訳なくて交わっていた視線をずらして
小さな声でごめん、って呟く

んはって大好きな可愛い声で笑うきょもの声を聞いて
自然と表情が緩む

『てか』

「ん？」

『浴衣』

「あぁ…浴衣、？」

『好き』

「…へ、？」

『そういうの、好き』

頭の上にそっと置かれたお団子を優しく触られて

心臓が飛び出してきそうなのを必死に抑える

その“好き”は浴衣の柄？とか髪型だってことはわかってるけど

わざわざ可愛いを使わないで好きって表すの、ズルすぎない？

私の気持ちに気づいて弄んでるんじゃないかって思うくらい

もう、彼の目を見れそうにないじゃん

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