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なんとなく花火を見るのに良さそうな所を見つけた
見晴らしも良くて綺麗に見えそうな場所だなって
あと30分待ちきれない気持ちでいっぱいで
『トイレ』
きょもが来た道を返して入口付近にしかないトイレに向かう
私も行きたい気持ちはあったけど
また去年みたいなことになりかねないし、我慢しよう
すっかりきょもとの約束はなくなったものだと思ってたから
そんなふうに考えていた
だって、なんにも連絡なかったんだし
きょも以外の4人でその場に残って
屋台で買ったたくさんのフードをひたすら食べる
きょもがいなくなって5分も経たないうちに
慎太郎は焼きそばを食べ終えて“トイレ!”だなんて叫びだす
…もう、小学生じゃないんだからやめてほしい
『Aも行くでしょ?』
そして唐突に私の腕を引いてそんなことを言いだす始末
トイレ?確かに行きたいけど
慎太郎に連れていかれるのもなんか恥ずかしくない?
去年のことを思い出して、
一緒に行こうとしてくれてるんだろうけどさ
『ほら行くよ』
首を縦にも横にも降らない私に痺れを切らしたのか
半ば強引に腕を引いて歩きはじめた
ずっと隣を歩いてくれなくて、
数歩前を歩き続ける慎太郎の横顔しか見えなかったけど
ただただ前を見据える慎太郎の瞳がどこか寂しかった
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時