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樹の提案で去年のリベンジを兼ねて射的大会がまた開催された
『Aちゃん…いや、きょも何が欲しい?
俺今回は絶対とるから!』
『樹に頼まなくても欲しいの自分で取るから』
バッサリきょもに斬られて肩を落とした樹
陽菜も去年取ってもらったから、と
今年も慎太郎に取ってもらうらしく樹なんて眼中に無い
そんな樹がさすがに可哀想に見えて、
慌てて駆け寄って声をかける
「…あ、ねえ樹!私あの光るヨーヨー欲しい」
『…っしゃあ任せろ俺が絶対、』
____パンッ
『ん』
樹が構えたと同時に何かがヒットした音が聞こえて、
私が欲しいといったそれをきょもが差し出してきた
「あ…、有難う」
『あと何が欲しいの』
「…え」
『Aちゃんが欲しいの全部取ったげるから』
有無を言わせない鋭い視線で突き刺してくるから
私も台に近づいて景品をもう一度確認する
あ、あれ……
見覚えのあるマスコットを指差す
動物の種類は違うけど多分同じ仲間だと思う
『友達増やすの?あいつの』
「…うさぎと猫って相性いいのかな」
『まあ別にいいでしょ』
そしていとも簡単に的を射抜いて
猫のマスコットを取ってくれたきょも
この猫、なんだかきょもみたいで惹かれたんだよね
ほんと、かわいい
『…かわい』
猫ちゃんの顔を撫でてあげていたら聞こえてきた声
自分の心の声が漏れたのかと思いきや
その声は確かに私のものではなくて
「あ…、ね?猫ちゃん可愛いよね」
『全部かわいい』
きょもの言う、可愛いの対象がわからなくて
勝手に勘違いしそうになるから
可愛いのは猫、可愛いのは猫って必死に自分に言い聞かせた
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作者名:ダイア | 作成日時:2022年10月19日 22時