星鏡-3- (ページ23)

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新しく買うのが面倒で、
急いで母親に連絡して送ってもらった浴衣を壁に掛けて眺める

紺色で向日葵が描かれた浴衣

このデザインならまだ今の年齢でも着れるかなって

もうすぐ陽菜が家に来るから
メイクも済ませて髪もなんとか自分で終わらせることができた

ただのお団子

だけどいつもは絶対にしない髪型だから雰囲気変わるかなって

あれから特にきょもからの連絡はない

“抜け出す？”って言ってくれたのも、
彼のなかでもうなかったことになっているのかも

いつ抜け出すのか、どうやって抜け出すのか、

なんにもわかんないままだから
やっぱりあの場のノリだったのかな

今日の浴衣、陽菜のためっていうのもあるけど、

やっぱりきょもに可愛いって思われたいって下心がある

変に浮かれて気合い入れてる自分が恥ずかしい…かも

『お待たせ〜A』

陽菜を部屋に迎え入れて早速着付けを始める

陽菜は自分でできるらしいから先に私の分をやってくれるらしい

「わざわざごめんね、陽菜」

『なんで！私が着たいって誘ったんだから！』

“それにさ〜？”

私の頬をつぶして笑顔で視線を合わせる陽菜

『可愛いって言わせなきゃだもんね？』

「…興味なさそうだけどね」

『きょもは難しい男だからね〜、、
あ、でも！絶対慎ちゃんは可愛いって言ってくれるよ！』

「慎太郎もふざけてるだけじゃん」

そう笑えば、口をキュッと結んでなんとも言えない表情を見せた

…まあ、お世辞だとしても言葉にしてくれるだけ
慎太郎は優しいし有難いってことかな

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