星鏡-3- (ページ17)

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じっと座っているのにも疲れて、
なんとなく、土手沿いを散歩することになった

ランニングをしている人が私たちの隣を通り過ぎるたび

流れている時間の違いに気づく

すごくゆったりとした雰囲気に包まれてるようだけど
本当は辺りは忙しなく時間は進んでいるんだって

風が吹いた

顔にまとわりついた髪をどけようとすると
隣から手が伸びてきて、

ぐちゃぐちゃになった髪が器用に左耳に掛けられる

びっくりして彼の右の横顔を見るけど
視線は交わることなく星空を眺めていた

『ねえ』

「…ん？」

『また探検しとく』

一瞬だけ目が合った

“探検” それは2人にとっては意味のある言葉で……

あの時…去年の七夕祭りの日の私は、

昔と変わらない彼への気持ちに気づいてしまったために
その言葉を無視して気付かないふりをした

だけど今は、もう

「また綺麗なとこで見たいね、私も探検しようかな〜…」

ちゃんと覚えてるよ

あなたとの記憶で全部全部埋め尽くされてるんだよ

それを伝えたくて、理解してほしくて仕方がない

『2人で抜け出す？』

悪戯な表情を浮かべ、笑ったきょも

主語がなくたってなんのことなのかすぐにわかる

私も小さく笑って頷いた

今年の七夕も一緒に過ごせるんだ

…中３ぶりにまたお願い事でも書いてみようかな

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