星鏡-3- (ページ2)

今日:22 hit、昨日:70 hit、合計:115,703 hit

92 ページ2

・

いつにも増して真剣な表情だから

何を言われるか不安になってきたかも

それを証拠づけるように心臓もバクバクなりはじめた

『きょも、と…』

｢きょもと…？｣

『…きょもとばっか話しすぎんなよー？』

｢なにそれ、そんな真剣な顔して言うことじゃないじゃん｣

“ごめんごめん”って笑う慎太郎

今、何を言おうとしたんだろう

彼が伝えたかったことが今の言葉ではないことは明らかで

だけど彼が伝えなくて良いって判断したことなら
それ以上深堀りすることはできない

私も気付かないふりをして振る舞わなきゃ

｢でももう慎太郎の前で隠す必要はなくなったんだ｣

『…やだなー女女してるA見たくないんだけど』

｢別にしてないしきょもの前でも変わんないもん｣

『俺には…違って見えるけどね』

｢絶対それ偏見｣

そんな言い合いをしながらまた駅まで戻る

慎太郎が何か言いかけた言葉に
気にしないふりをすることはできるけど

この時の慎太郎の気持ちには気づくことができない私は

それだけきょもしか見えなくて、

きょものことで頭がいっぱいになっていた

・