dream of (ページ19)

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「あの講義、受けてたんだね」

松村『うん』

「…眠くなるよね、あれ」

やっぱり、会話が続かない

かろうじて隣を歩いてくれているけど
もしかしてうざったく思われているのかもしれない

電話がかかってきたフリでもしてこの場を離れようかな

ポケットからスマホを出してみる、

松村『の割には眠そうに見えなかったけど』

「え？」

松村『楽しそうに話してたじゃん、京本と』

「あ…見てた？」

松村『見たっていうか、勝手に視界に入ってきた』

……終わった

返事してくれたと思って喜んだのも束の間

この言い方、“勝手に”ってめちゃくちゃ迷惑がってる言い方…

どう考えたって彼は真面目に講義受けたい人だろうしさ

あーーーー、最悪、本当に最悪

松村『別に気にしなくても樹がいつもうるさいから』

「えっ、やっぱうるさかった！？ごめんなさい本当に」

松村くんを見上げて、両手をパチンと合わせて謝る

もちろん精一杯の誠意を込めて

松村『だから気にしないで大丈夫だって』

「けどうるさいって」

松村『いや…うん、そうね、じゃあうるさかった』

「……ごめん」

松村『ふは、じゃあ次から気をつけてください』

優しく笑った松村くんがそう残して足早に講義室に歩いていった

いや、…え？なにそれ……

松村くんとは対照的にその場に立ち止まってしまった私

何度考えたって松村くん、やばすぎるって…

何というか、基本人見知りで話してくれない分、
たまに見せられる笑顔の威力がえげつないし、なんていうか、なんていうか…

「…次もまた、一緒に受けれるの、？」

明らかに火照った顔を手で仰いで、

再びその背中を追いかけるように講義室に戻る

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