dream of (ページ46)

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「樹、起きて、帰るよ」

はっきりと、しっかりと、

自分の中でこの感情を認めてしまったらなんだか心がむず痒くなった

そしてその痒みを逃がすように樹の身体を揺らす

“まだ着いてねえのに起こすの早くない？”

って髙地くんは笑ってるけど
そうでもしないと自分がどうしていればいいかわかんないから

｢ねえ、樹ってば｣

田中『…ぅ、…んん』

｢もうすぐ着くよ｣

田中『…はや、…』

普段の寝起きの樹は機嫌が良くないけど、

車の中だからまだマシらしい

欠伸をしながら目を擦って、
そして両手を車の天井にぶつけながら伸びをしている

｢私より熟睡してたね｣

田中『良い感じの柔らかさだったおかげでね』

｢…明日のシフト戻すよ｣

田中『なんでだよ褒めてんの！女の子特有の柔らかさだねって』

冷たーい視線を樹に送りつければ
“マジで褒めてんの！”とかどうとか言い訳し始めた

…松村くんと大違い、

それにこんな失礼な発言松村くんがいる場所でやめて欲しい

おデブちゃんなことがバレちゃうじゃん

………既にバレてるかもだけど

松村『ていうか樹また借り作ってんの？』

田中『明日はどうしても外せない用事入っちゃったんだもん〜』

｢サークルの先輩とお食事なんだってさ、ほんと抜け目ないよねこの人｣

田中『今回は向こうから誘われたっつってんじゃん、不可抗力よこれに関しては』

松村『樹は断るってことを知らないの？』

田中『なんだよ北斗、お前せっかく誘ってくれた子のこと断るってのか？』

松村『余程のことがない限り断るけどね』

…余程のこと、

余程のことってなんだろう

松村くんがご飯行こうと思える女の子ってどんな子なんだろう

一瞬にして頭がそのことで埋め尽くされる

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