愛染 (ページ40)

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色んな出店に寄りながら歩いていたら
どこからか聞き馴染みのある笑い声が聞こえてきたような気がした

『ん？Aさんどうかした？』

森本くんには聞こえてないみたいだし
幻聴かなんかかなってそう思い込もうとした

というかそう思いたかった

｢ううん、なんでもない(笑)｣

『なんすかそれ(笑)んーーまだなんか食べられます？？』

｢えーもうそろそろお腹いっぱいだよ｣

『マジすかぁ？俺もう一回焼きそば食いたいっす』

｢本気？入り口の方だったから戻らなきゃじゃんか～｣

そんな会話をしながら来た道を戻ろうとしたからいけなかったんだと思う

そのまま前に進んでたらきっと出会すことなんてなかったはずだもん

『おっ！慎太郎！....とA？』

先に私たちの存在に気付いたのは樹だった

やっぱりさっきの笑い声、幻聴なんかじゃなかったんだ

『うえ～～！！樹来てたんだ！』

『....おん、てかAもマジで一緒に来る男いたんだな(笑)』

“それが慎太郎だとは思わなかったけど”

そう笑いながら繋がれた私と森本くんの手を見てる気がしたから
いそいで手を振りほどこうとした

だけど森本くんの手の力は強くなる一方で全く離してくれない

....やだ、こんなところ見られたら樹に勘違いされちゃうのに

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