恋人ごっこ。 (ページ32)

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そんなことを言いつつも何も動き出せず

気がつけば蝉が鳴き始める季節になっていた

｢北斗暑い手ビショビショ｣

『これ俺の手汗じゃねえかんな？』

｢北斗のだよ｣

『Aの』

｢違う北斗の｣

『いーやAの』

｢北斗の！！！｣

『....あーもうこんなやりとりしてたら余計暑くなるわ』

そして離された私たちの手

離された瞬間の寂しさには未だに慣れない

家が近づくにつれて少しずつ２人の間に距離が生まれていくことにも

『あー....あちー』

｢暑いって言ったら余計暑く感じるからやめて｣

『....あー、さみー』

｢んふ、何それ(笑)｣

『あ、俺んちアイスあったけど来る？』

｢んー、やだ、北斗に襲われる｣

『馬鹿かよ』

北斗とはそういう行為はもちろんハグもキスもしていない

手を繋ぐことが唯一できることっていうか

本当のカップルじゃないから当たり前なんだけどね

北斗もそういうことを男友達によく聞かれるけど
必死にはぐらかしてるって言ってたなそういや

｢でもアイス食べたいなー｣

『我儘小娘が』

｢そうだ！コンビニに買いに行って公園で食べようよ！｣

『お、Aにしては名案、最高』

余計なことまで言う北斗を一発叩いて
２人で近所のコンビニまで歩いた

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