恋人ごっこ。 (ページ27)

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２人を包む沈黙を打ち消すかのようにチャイムが鳴った

『じゃあ俺も教室戻るから』

そう言って私の元を離れていく北斗の袖をなぜか掴んでしまった

『....どした？』

｢....あ、えっ、と、｣

特に用はない、ただ寂しく感じただけなんて台詞

本当の恋人同士じゃないから言えっこない

突然の私の行動に北斗が戸惑っているのも分かる

だから必死に何か次の言葉を探すけれど、上手く見つからなくて

｢....どう？今の感じ、ぽくない？(笑)｣

『え？ああ....うん、確かに、彼女感あったかも』

｢へへ、私も上達、してるからね｣

『ならそれを２人のときにやっても意味ないだろ(笑)』

本当に北斗のことが好きだから、
２人のときにわざわざするんだよって言葉は胸の中に隠しておいて

｢まあ本当にありがとね？体操服、洗って返すから｣

『洗わなくても別にいいんだけど、まあ、じゃ』

北斗を見送って、まだ誰も戻ってきていない教室でひとりため息をついた

北斗との関係性が変化してから
どんどん自分が欲張りになっている気がする

ただ好きなだけで良かったのに
ただ普通通り話せるだけで良かったのに

私のことを本当に好きになってほしいって

嘘なんかじゃなくて北斗の恋人になりたいって

｢....叶うわけないのに｣

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