恋人ごっこ。 (ページ19)

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北斗と恋人ごっこをはじめてもう１ヶ月くらいが経った

朝一緒に学校に行き始めた私と北斗を見て、
お母さんはまた急に仲良くなったわねえなんてニヤニヤしてるし

学校ではもはや有名カップルとしてほとんどの人に認知もされてる

あの日２人で決めた約束もちゃんと守ってる

『....い、おい、聞いてんの？』

｢あ、ごめん考え事してた｣

『....ったく』

今だってそう、お昼休みで２人でお弁当を食べている

ふたりきりとはいえ学校だし誰に話聞かれてるかも分かんないから
ちゃんと“ごっこ”は貫いているんだけど

『だから俺も最近しつこく母親に言われるって話』

｢急に仲良くなったね、って？｣

『そう』

｢まあでもそう言われるのは北斗のせいじゃん｣

『それは....そうだけど』

幼稚園の頃は毎日一緒にいた

だから小学生になってもずっとずっとそうなんだって思ってた

だけどいつくらいかな、

確か小学４年生になった辺りくらいから北斗が一緒にいてくれなくなって

お母さんにはほっくんは男の子だから男の子と遊ぶのが普通なのよ、なんて言われたけど

私はそんなの関係なしに北斗といたかったのにって泣いてしまったのを覚えてる

そして中学に入ってくらいからは学校では会話すらすることもなくなって

学校が終わって、
家に帰ってからは普通通りに話してくれたけどすっごい寂しかった

｢....ほんとに傷ついたんだから｣

『マジでごめんって』

｢じゃあお詫びにそのトマト頂戴｣

『食い意地だけは張ってんのな』

北斗の手からそのまま口に運ばれたミニトマト

北斗の指が少しだけ唇に触れた気がしてそれだけで顔に熱が集まる

『演技上手くなったじゃん』

にやりと笑う北斗の様子に、

きっと私の気持ちは永遠に気付いてもらえることはないんだろうなって感じた

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