胡蝶の夢-2- (ページ5)

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店番の交代のタイミングが来て、
少しずつ同じクラスの人が裏に入ってくる

午後からは何にもするつもりはない
田中くんにも話した通り、図書室で静かに時間を過ごすつもり

衣装から制服に着替えようと隣の教室に行こうとしたとき後ろから腕を掴まれる

『お待たせ』

当たり前のことのようにそう口にする森本くんはここが教室だってこと忘れているのか

近くにいてこの光景を見た数人の女子が小さな悲鳴をあげている

「…ん？」

『まわるでしょ、一緒に』

「どういうこと？」

『店番もうないでしょ？』

“ねえ慎太郎高橋さん困ってんじゃん(笑)”

笑いながら近づいてくる女の子、…あ、朝一緒に写真撮ってた人だ

まあ確かに今困っているのは事実、
こんな人前で森本くんがちゃんと話しかけてくるのなんてなかったから

『慎太郎、Aちゃんのこと好きだべ？』

賑やかしに加わってきたのは田中くん

にやにやしたその表情は完全にこの状況を面白がっているようにしか見えないけど

『やべ～バレてる？』

森本くんの表情を見てると、意外にそういうことでもないのかもだなんて

田中くんと森本くんの発言でこれまでにないくらい騒がしくなった教室

あちらこちらから“え、あの二人できてんの！？”って声ばかり

ただでさえ人が増えてくる時間帯に何してくれてるのって感じではあるけど

『どうだろ？それは～まだ内緒だね』

私の手を握りなおして走り出した森本くんが楽しそうで
どうでもいいや、って心から思った

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